名品展
2009 / 07 / 02 ( Thu )

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霧雨の降り続く1日でした。 

ちょっと億劫だったのですが、 会期終了が近づいた、
東京都美術館で開催されている「 日本の美術館名品展 」に行ってきました。

なんと全国100の公立美術館から、
イチオシで大切な ”この作品!” が揃って展示されているという、
なんとなーく お得感のあるこの企画。
やはり見ごたえもあり、いろんな意味で楽しかった。

作品に添えられたキャプションは それぞれの美術館からのもので、
その文面からは あたかもわが子を送り出すような愛情が感じられて、
読んでいるうちになんとなく頬がゆるんでくるような、 そんな温かいキモチになりました。

足を止めずにいられない黒田清輝、
「 ポプラ並木の黄葉 」は、島根県立石見美術館所蔵とのこと。 

今回その作品のキャプションで、黒田清輝と森鴎外との関りを初めて知りました。
そういえば同世代?
 
島根県は ワタシ、彼女と初めて旅した思い出の地で、
結構知っているつもりでいたのだけど、
この作品を所蔵している美術館の名は知りませんでした。
サーチしてみると H17年秋に開館した、劇場と美術館の文化複合施設のようです。

 島根県芸術文化センター 「 グラントワ 」

これからちょうど夏休みに合わせて 「 黒田清輝展 」が開催されるようです。
オペラも催せる立派な劇場、そしてHPで見るその施設のたたずまい・・・。
周囲に溶け込むような外観、デザイン、素材、
瓦の多用は地元の石州瓦ということなんでしょうか・・・、なんかイイなー。
どなたの設計なのか興味あります。 
またゆっくりした時にでも、ゼヒそのあたりの事を知りたいなー・・・、なんて思ったの久しぶり。

近くには石見空港、 
津和野にもほど近く、まだ行っていない安野光雅さんの美術館もすぐ近く。
ワタシの好きなカマボコ、「 白銀 」や「 秋芳 」もすぐ近く。(ーー;)
アクセスが良さそうで、つい具体的に考えてみたりして・・・。
う~ん、  2泊くらい・・・?   
大いにソソられていまーす!


・・・話を戻しますが、 
たとえば 福武コレクション( 現ベネッセ )が岡山県立美術館に寄託されたとか、
キャプションで知るその沿革も とても興味深いものがありました。

タイトル通り、いずれも名品ばかりで なかなか先へ進めません。330
大分市美術館蔵の 福田平八郎の「 鮎 」の軸などは思わず見とれてしまいました。
数年前にTVの日曜美術館で、 藤原正彦先生が
数学の美(?)と俳句と福田平八郎氏の作品を語っていらっしゃったのを思い出しました。
ワタシにとっては、あの番組の中で過去最高オモシロかった!

今回グッズショップで手に入れてウキャウキャ喜んでいるのは、
福田平八郎のフ・ァ・イ・ル~~~!

           福田平八郎・竹

上は竹、 下は散り敷いた桜の花びらと新芽、 

           福田平八郎 
   
    
写実の果ての この境地!
絵葉書や複写や、何でもいいから他にないのか?・・・と、
売り場のお姉さんを困らせていた 怪しいのがいたら、それは多分・・・ ワタシかも。(^^ゞ



今回の催しで、ふと目にしたとたんエアポケットにハマってしまったように
引き込まれたのは、 ユトリロの”白の時代”に描かれた「 ノルヴァン通り 」。
73cm × 91.8cm、わりと大きな作品でした。 名古屋市美術館蔵。

画集よりも実物のほうが断然イイのは当たり前だけど、
この作品の場合はそれが際立っているような気がしました。

はかり知れない深い孤独を、 感じるなと言うほうがムリかなー・・・と思う。
目にしたとたん淋しさに胸をつかまれて、 キャプションで名前を確認して納得しました。
先入観によるものばかりではないんだ・・・と思いながら、
しぜん彼について 知る限りの断片的なプロフィールが思い出されました。

ルノアールの「 都会のダンス 」、「 髪を編む女 」、
ロートレックの「 二日酔い 」などのモデルとして知られる、母親シュザンヌ。
一時ロートレックの恋人で、ドガなどとも交遊のあった華やかな美人、
その彼女の私生児として生まれたユトリロ、
父親は不詳。
母シュザンヌの結婚を機にパリ北郊のモンマニーに追いやられ
祖母と2人で暮らす淋しい生活の中、アルコールに溺れ精神病院への入退院を繰り返し、
医師の勧めで絵を描き始めたのが画家になるきっかけだった。
自分の友人と愛人関係にあるような、そんな母親に褒められたいが為に描き続けた彼。
モンマルトルの街にイーゼルを立てて描くことはなく、
アトリエで街を写した絵葉書を模写していた。


・・・う~ん・・・、 
・・・どうして子供は無条件に母親を恋うのだろう・・・、
胎内で温かい羊水に包まれて揺られているシアワセな記憶がどこかに残っているから?

母性本能という言葉があるけれど、どうなんだろう・・・と、ふと思う。
子供を産んだら直ちに母性が目覚めるというわけではなくて、
日々の中で少しずつ子供の成長と共に育っていくものなのかな。
でも、じゃあ母性を持ちそびれてしまった人の子供はどうしたらいいのだろう、
そんな母親なんて さっさと見限って、
自分の人生を謳歌すればいい、・・・という考えもあるかもしれない。
でも当人にとってはきっとそれは逆なんだと思う。
母親に愛されていないということを、日々時々実感し いちいちに傷付きながら、
それでも身動きがつかず、何かを埋めようとせずにはいられない。

ずいぶん前に観た原田美枝子さん主演の 「 愛を乞う人 」という邦画を思い出しました。
思い通りにならない自分の人生への腹立ちを、無力な子供にぶつける母、
ひどい暴力をふるわれながらも 時折かけられる優しげな声に陶然とする子供。
長じて職を得て、給料を取り上げられるようになる頃 出奔。
でもそれはウソだと思った。
想像をたくましくして描かれた作品か、描写不足だと思いました。
「 愛を乞う人 」は、母親でもあり、子どもでもあり・・・、

親から充分な愛情を受けて育った人は、
親がガッカリするほどアッサリと巣立っていくと聞きます。 
けれどそうでない人は・・・、 
思い切れない自分を自分で嫌悪しながらも苦しむのだと思う。



通りかかる度、いつも気がかりで見上げているツバメの巣、
一番好きな鳥。
夏の終わりに、南へ渡る。
条件がいいわけでもないのに、日本で巣をつくり子育てをする。
だからツバメにとって故郷は、日本。
秋、たった17cmほどの体長で、何千キロもの過酷な旅をする。
途中 嵐もあるだろう、
どうか無事であるように、そしてまた春に会えるようにと祈らずにはいられない。

こうして軒に巣を作るツバメだって せわしなく 飛び回りながら 、子育てに文字通り懸命だ。 
その様子は見ているだけで胸が熱くなるほどだと言うのに…。

           090618_1422~0001    


見えない心の瑕疵が芸術を生むのかな・・・、そんなことも思ってみたりしながら
重い図録のユトリロの頁を閉じ、
館内から霧雨に煙る窓外の景色を眺めつつ、しばし心を遊ばせました。

 

会期が迫っています。
なんと明後日、7月5日(日)まで。 

詳しくは こちら ⇒ 日本の美術館名品展

 

 

23 : 59 : 08 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(6) | page top↑
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コメント
--これほどお薦めなら--

行ってみよう!と思ったのですが、日曜日までですか…。残念。土日とも開館時間に、上野にいられません。。。(涙)。
お薦めのものを現地で観賞することを目標とします!
by: かん * 2009/07/03 23:34 * URL [ 編集] | page top↑
--かんさん ♪--

あえ~? かんさん、もう行かれたのかと思ってました。
もっと早くお伝えできれば良かったのですが、ここのとこバタバタと慌しくて・・・
チャッチャカ見ても2時間くらいはかかるのではないかなー、
夜間延長もあるようですが

でも現地で鑑賞っていいですねー!
あれこれ追われるように見るんじゃなくて、ゆっくり反芻する時間もほしいですよねー。
近辺だけで手一杯、見そびれた催しも結構あるな~(涙目)
by: vesper * 2009/07/05 10:15 * URL [ 編集] | page top↑
--こんにちは!--

島根県がカノとの初めての旅?
えー!えー!
ちょっとシブくね?
ハワイとかじゃないの?
どこへ行ってどんな旅だったんですかー?
ちょっとマジ知りたいんですけど!
by: リリック * 2009/07/06 14:33 * URL [ 編集] | page top↑
--リリックさん ♪--

> ちょっとシブくね?

た、確かにシブいかも・・・、
残念ながらハワイとかじゃないんですよー。
泊まったのも日御碕灯台のところの国民宿舎。
なんせ学生だったので~~~。

でもナゼそこに行く事になったのかを言えば、もっとシブいかもしれない。
ナニゲに、私が初めて自分の意思で欲しくて買った本が「古事記」だったと話したのがきっかけ。
では神話のふるさとへ行こうというコトになった、
そんなカンジ。 
オモシロい話でなくて  <(_ _)>
by: vesper * 2009/07/07 20:30 * URL [ 編集] | page top↑
--いーえー--

十分オモシロすぎですがー!
でももっと具体的にどんな旅だったのか知りたいー!
もっとしゃべって!
できれば小説風にカノとのはじめての旅行を打ってほしいと思ってるのはウチだけじゃないハズー!
だってvesperさんいつもカノの事の文章ってスッゲードキドキでメッチャさえてるんだもーん!
エッチバナじゃないのになんかカーッとなって寝れない・・・みたいな?
なのでお暇なときにでも是非ヨロシクー!
by: リリック * 2009/07/19 15:22 * URL [ 編集] | page top↑
--リリックさん ♪--

ぐ、具体的に~~~、
す、スッゲードキドキでメッチャさえ~~~!
カー~~~?

がんばります~~~(^^ゞ
by: vesper * 2009/07/19 19:46 * URL [ 編集] | page top↑
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